劇団あとの祭り Vol.5

「TheEND(エンドマーク)は降って来る」

作/福冨英玄

<7 出動>

 

 

ハルコの家。


ブルーとシルバーはゲームなどしている。

レッド一人掃除。

 

シルバー そんなに気を使わなくてもいいのに。

レッド お前らのためにやってるんじゃない。

シルバー 何か言った?

 

間。

 

レッド あのさ…。

 

ブルー、シルバーの歓声。

 

ブルー …あ、何?

レッド …いや。

 

呼び鈴。

 

シルバー お客さんだよ。

レッド …一応リーダーだぞ俺は…。

 

ドアを開ける。

外にいたのは山崎。

 

山崎  ハルコさ…あ、どうも…ハルコさんいます?

レッド あなたは?

山崎 ハルコさんの担当の山崎といいます。お友達で?…

レッド ええ…まあ。

山崎 ハルコさん、いませんか?

レッド いや、ちょっと外出してて。

山崎 そうですか。大至急連絡とりたいんですよ。

どこいったか知りません?

レッド さぁ、ちょっと。

山崎 いつごろ帰るか言ってませんでした?

レッド さぁ…どうかしたんですか?

山崎 それが来月号が出せそうなんですよ。他の先生方からも、

いくらなんでも急すぎる、せめて納得のいく形で

終わらせて欲しいって声が出ましてね。

経営側も来月号だけならってことで折れそうなんですよ。

レッド 本当ですか?

山崎 ハルコさん、最終回の原稿、もう描けてるって言ってたのに、

それが出せなくなってひどく落ち込んでたから、

ヤケでも起こして原稿捨てたりしないうちにと思って…。

…あの、ハルコさん帰ってきたらこのこと伝えて

もらえませんか?僕はハルコさんのよく行く所

まわってみますから。

 

山崎、退場。

 

レッド  ブルー、シルバー、ハルコを…

ブルー 探しにいこうってんじゃないだろうな。

シルバー そんなことしても無駄だって。

レッド 俺はさっきからずっと考えてたんだ。ハルコを探して、

それで見つけられたとして、俺に一体何が

言ってやれるんだろう。何を言ってやればいいんだろうって。

でも今なら何か言えるような気がする。

ブルー 言ってどうする?ハルコが最終回を描いたからって、

俺たちがもとの世界に帰れるって保証はないんだぜ。

レッド ブルー…これはそういう問題じゃないんだ。

 

ブルー、シルバー、顔を見合わせて立ち上がる。

 

シルバー 貸しだからね。

レッド 借りておく。ブルー、シルバー、行くぜ!

プラズマン出動!

ブルーはマッハスピーダーを使え。

俺はハルコの車で行く。

シルバーは残ってここから探してくれ!

ブルー・シルバー 了解!

 

駆け出す三人。

ブルー、マッハスピーダーを呼ぶ。

 

ブルー  マッハスピーダーーーーーッ!

レッド マッハスピーダーは超高速バイクだ。

最高速度マッハ1.加速ブースターを使えば

瞬間マッハ2.5をたたき出す。プラズマンの秘密兵器だ!

 

ブルー、バイクにまたがり発進。

 

レッド が!

 

ブルー、急ブレーキ。

 

レッド 信号の多い街中ではあまり意味がないのは言うまでもない。

 

ブルー、いらいらと信号待ち。

遠くからサイレンの音。

 

お巡り  そこの改造バイク止まりなさい1

ブルー え?俺?

お巡り  何を考えとんのかね君は?スピード違反、ノーヘル。

…なんだ、ナンバーもつけてないじゃないか…免許!

ブルー は?

お巡り  免許!!

ブルー  いや…持ってないんスけど…。

お巡り  …ちょっと来なさい。

ブルー  え?ちょっと…、待って、俺のマッハスピーダー!

 

退場。

 


代わってシルバーが出る。

 

レッド プラズマシルバー・吹雪リンは、地球人と超感覚を持つ

異星人とのハーフだ。その五感は普通の人間を

はるかに凌駕する。得に感覚は、100メートル先の

針の落ちる音を聞き分けられるほどするどい。

シルバー ハルコはスニーカーを履いて出たはずよね。

その足音を探せば…。

 

耳をすますシルバー。

 

レッド が!よく聞こえる分、近所で道路工事なんかをしていると

大変なことになる。

 

削岩機の音。

シルバー、耳を押さえつつ去る。

 

レッド そして俺はハルコの車、スバルREXで出た!

 

レッド、エンジンをかける。

 

レッド  スバルREX発進!

 

車を出す。


レッド スバルREXは国産小型自動車だ。別に「発進!」とか

言わなくても十分走るが、言ったほうが気分が出る。

 

と、どこからか女性の悲鳴。

レッド、車を止めて降りる。

女、駆けてくる。

 

レッド どうかしましたか?

女 怪物が…怪物が…。

レッド 怪物?

 

出てきたのは、戦闘怪人イカ男。

 

レッド お前はデウスの戦闘怪人イカ男!

イカ男 そういうお前はプラズマレッド!

レッド お前も出てきたのか…。

イカ男 ここで会ったが百年目!第三話で貴様にやられた恨み、

いまこそはらしてやる!

 


イカ男VSレッド

イカ男、圧倒的に弱い。

 

イカ男 うーむ、手ごわいヤツ。

レッド お前が弱いんだろうが!

イカ男 しかたがない。助けを呼ぼう。おーい、イカ女!

 

イカ女登場。

 

レッド あ、イケイケ女だ。

イカ女 違う!イカ女だ。ちなみにフルネームはモンゴウイカ女だ。

ほーら、ドレープがステキでしょ。ほれほれ。

イカ男 ちなみに俺はフルネーム、ホタルイカ男だ。

ほーら電飾が楽しいだろう。ほれほれ。

イカ女 ほれほれ。

イカ男 ほれほれ。

レッド よせ!頭がヘンになる。

イカ女 そういう作戦だ!

イカ男 そうだったのか…。

レッド ちょっと待て。大体二対一ってのは卑怯なんじゃないのか?

イカ男 なにをゆーとる。

イカ女 あんたらいっつも三対一のくせに。

レッド しまったぁ。

 

レッド、頭を抱える。

 

イカ達 今だ!

 

レッドVS怪人

それでも普通に戦えば、レッドの方が強い。

 

レッド 調子に乗るなよ!行くぜ!レッド・プラズマテクター・クロス・アップ!

 

変身ポーズを切るレッド。

しかし何も起きない。

 


レッド しまった、最終回でブレスをちぎったままだ!

 

レッド、絶対絶命のピンチ。

と、そでからホイッスル。

ヤマザキ、レッドカードを持って登場。

 

ヤマザキ  退場!

 

イカ達、退場。

 

ヤマザキ …まずいな。もう流出が始まってんのか…。

レッド ありがとう。誰だか知らないけど助かっ…あれ?山崎さん?

ヤマザキ ドキ!なんで俺の名を…あー。お前はプラズマンとか言うやつ!

レッド え?いやその…。

ヤマザキ 動くな!

 

ヤマザキ、銃を出す。



レッド  ちょっと。山崎さん…。

ヤマザキ …他の4人はどうした。

レッド え?

ヤマザキ 他のヤツだよ!ブルーってのとシルバーってのとあと二人。

レッド …あんた一体…。

ヤマザキ どうしたって聞いてるんだ。

レッド シルバーはハルコのマンションだ。でもそれ以外は…。

ヤマザキ 案内してもらおうか。

 

退場。

 

<続く>

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