相変わらず寝ている山崎。
たばこをふかすヤマザキ。
間。
山崎 …なあ…昔話していいかな。
ヤマザキ …。
山崎 俺な…ずっと正義の味方にあこがれてたんだよ。ガキのころからずっとな。
…もし俺があのことに気付いてしまう小利口さを持ってなかったら・・・
俺の人生は変わってただろうな。…でも…編集者という立場で
ヒーローものに関わってしまうあたり…まだ少しは
気にしてたのかもしれない。
ヤマザキ …あのことって何だよ。
山崎 正義の味方が正義の味方でいるためには絶対に必要なものが二つある。
…困っている人と困らせてる奴だ。この二つがなきゃ、
正義の味方は存在価値がない。
…でも逆に考えれば、その二つが揃いさえすれば、
誰でもヒーローになれるんだ…俺みたいな奴にもな。
ヤマザキ ! …お前、気付いてたのか!?
山崎 一心同体…お前にわかることは俺にもわかる…。…今、何時だ?
ヤマザキ 11時45分。
山崎 あと15分か…これがアニメならCMが終わった頃だな。
山崎、毛布をはいで立ち上がる。
山崎 …行こう…役者が揃った!
ヤマザキ …よし!
山崎、ネクタイを締め直し、上着をはおる。
ハルコのくれた頭のネクタイを取り、置いていこうとして、
やっぱり上着のポケットに突っ込む。
ヤマザキ、サングラスを差し出す。
ヤマザキ …相手はこっちの戦力をはるかに上回る。…勝てる見込みは少ないぞ。
山崎 だろうな…。でも何でかな…可能性はなくても…自信はあるんだ。
サングラスを受け取る山崎。
**
剣をふるうムラマツ。
ゆっくりとサングラスをつける山崎。
シュドウ どうした…早く来い、ヤマザキ!
倒れる三人。
山崎 そこまでだ!
ムラマツ 何!?
< 続く >
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