地蔵達1・3、布団の中に入る。
母 なんでこの枕が二つあるのか、ちゃんと説明しなさい。
布団の山がうねる。
激しくもみあっている様子。ガキンガキン。
地蔵1・3、布団の中で…
母と女は呆然と見る。
激しさは頂上を登りつめ、そして、ひゅーと冷めていく。
地蔵達、顔を出す。
地蔵1、たばこを吸い出す。
地蔵3 もう、寝たばこやめて…。
母 …。
地蔵1 今夜の君はとってもかわいかったよ。
デコピン。コツ。
地蔵3 うふ。もうばか。
デコピン。コツ。
そして、二人は爆笑。
そして、女と母の顔を真剣に見つめる。
間。
地蔵2、叫ぶ。
地蔵2 さて、何点でしょう!
女 …。
地蔵2 10点満点で点数をおつけください。
女 母さん。
母 なあに。
女 点数をつけてあげて。
母 私が。
女 お願い。
地蔵2 何点でしょう。
女 お願い早く。
母 でも。
地蔵2 点数を。
女 後悔しないうちに早く。
間。
母 3点。
地蔵達 ばっかやろー。
地蔵達、布団を投げ、米俵を投げ、大騒ぎ。
地蔵達、母親を掛け布団で巻き上げ、ロープでしばり、三人で担いでしまう。
地蔵1 二人の夜を邪魔する敵は俺たちがなんとかしてやる。
母 ちょっとあなた達、なんなの。
地蔵3 君にとって邪魔なものは、私たちにとっても邪魔なの。
母 ちょっとなんで縛るの。
地蔵2 まあ、掛け布団がなくたって、敷布団がある。
地蔵達 それで十分じゃないか。
地蔵達、日本昔話のテーマを口ずさみながら、母親を担いで
どこかへ行ってしまう。
女 ちょっとどこへ連れていくのよ。
地蔵1 隣の部屋で話し合いをしてくる。
以下、左右同時進行。
母の声 ちょっとなんで縛るの。
私が何をしたって言うの。ちょっと
ほどいてちょうだい。私は娘と
大事な話があるの。
だいたいあなたたち何者。
地蔵。地蔵って何。地蔵じゃ
わけわかんないでしょ。
つまんないんだからしょうがないでしょ。
何急にやってんの。やめなさーい。
やめなさーい。
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地蔵2 3点つけました。
地蔵1 3点だよな。
地蔵3 身削ったネタだったのに。
地蔵1 地蔵です。
地蔵2 地蔵です。
地蔵3 地蔵です。
地蔵達 3点しかもらえない地蔵です。
地蔵1 予選落ちかな。
地蔵2 念仏始めー。
地蔵達 うだーうだーうだー。
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などとやっている間にピンポン。
女 あっはい。あっ、お帰り。ご苦労様。あっそう
それ買ってきたの。あっうん。いいよ。あがって、というか、
ちょっと今取り込んでるの。えっ、なんか騒がしい。
あー、うん、今母親が来てるの。
あっ、帰らないで。帰らないでー。
そんな、あってくれなんて言ってる訳じゃないって。
大丈夫なの。うん。もうすぐ帰るって。
電車。ううん、走って帰るって。うん。本当。
えっお経が聞こえる。あっお母さんの趣味なの。
うん、大丈夫。やめさすから今すぐ。じゃあさあ、
ちょっと外で、時間つぶして来てくれる。5分でいいから。
大丈夫。絶対帰っちゃダメよ。絶対ね。うん。
婆子達が念仏を唱えながら、奥から登場。
地蔵達も念仏を唱えながら、登場。
2者が遭遇。
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