ニ宮金次郎が現れる。
二宮 あのー。
女 えっ。
二宮 すいません。ここに地蔵が来ませんでしたか。
女 …あの。
ニ宮 地蔵来ました?
女 ぼくね。
ニ宮 はい。
女 名前は。
ニ宮 ニ宮金次郎
女 そう。
ニ宮 うん。
女 土足だよ。
ニ宮 うん。
女 ぬぎなさい。
ニ宮 いや。
女 なんで。
ニ宮 石だから。ぬげない。
女 そう。
ニ宮 うん。サイタサイタサクラガサイタ。
女 何それ。
ニ宮 教科書。勉強してるんだ。薪背負ってさ。家の仕事手伝いながら
勉強してるんだぜ。えらいだろ。
女 そう。でも、本読みながら登下校したら、きっと車にひかれて死ぬわ。
ニ宮 ううん。僕、石だから大丈夫なんだ。
女 そう。僕、とっても強いんだね。
ニ宮 僕、うーんと勉強してね、将来は大蔵官僚になるんだ。最強だろ。
女 そう、そして、庶民の生活を土足で踏みにじるのね。
ニ宮 いやー、お姉さんには一本とられたな。
女 でていきなさい。
ニ宮 いやだ。
女 お姉さんね、今日、全てを失ったの。うふ。だから、私が正常なうちに
でてって。もーなんでもありだもん私。
女は笑う。
ニ宮 お姉さん、どうしたの。
女 やっておしまい。
婆子達 いえっさー。
ニ宮 僕たちは、石仲間の地蔵達を探しに来たんだよ。
女 こいつをしとめたら、ごはん作ってあげるよ。
婆子達 いえっさー。
ニ宮 地蔵達はどこに行ったの。
女 攻撃準備。
婆子1 老人全快。
婆子2 ぶるぶるぶるぶる。
婆子達は攻撃準備。
婆子1 もっとこう腰を伸ばす。
婆子2 あー。
婆子1 伸ばす。
婆子2 うー。
ニ宮 それはうわさのボーリング攻撃。
女 小学校の中庭にお帰り、坊や。
婆子2 老人の青春と腰は帰ってこないんですよ。
婆子1 その怒りをぶつけなさい。
婆子2 そーれ、ボーリングだー。
女 死ねー。
ニ宮 おとうさーん。
雷鳴。
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