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音楽。
それは季節はずれにも
卒業式の曲。
「卒業生のみなさん。
この学校での思い出を
胸に、新しい世界へ
はばたいてください。
みなさんの健闘と、
輝く未来へ、
祈りを込めて、
私達からこの歌を
贈ります。…」
そこは、どこにでもある、
普通の中学校の職員室。
「で、合唱か…
うーん、まいったなあ…」 |
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「今すぐ校長室に行って
『ここは日本です。
季節はずれの卒業式
なんかやめましょう』
って言って来たら?」
「できませんよ、
そんなこと!」 |
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「大体さ、校長も調子が
良すぎるのよ。
一人一人を大切にする
教育、とか、多様な
国際性に対応、とか
適当なこと言っちゃってさ。
何様だってのよ。」
「…なんか言ったかね」
「いいええ。別に」 |
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「人数少ないから、
卒業生の名前、
一人一人呼んであげる
わけよ。
一人一人に呼びかけて
あげるためには
いろいろひっぱってくる
わよ」 |
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「いいんじゃない?」
「じゃあ、ガルベス君
だったら?」
「…次にしましょう次。」 |
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「わからないけど、
きっと学校には寄ると
思うんだ。
最低、あと一回は。」
「どうして?」
「理由はない。
ただのカンだ」 |
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「でも…ヤツは来る。
オレは、教師として、
男として、ヤツを信じたい」
「武田先生…」
「……80年代前半の
世界よねえ…」 |
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「アーシュラは優しい。
池の鯉に…
ごはんをやっていた」
「……はい?」 |
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「呼びかけの台本が
できれば、卒業式に
なるわけじゃないでしょ?
それなりに指導しなきゃ。
それは一体、いつ、
何の時間を使って
やるんですか?」
「…それは…」 |
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「生徒朝会みたいにすれば、できなくはないでしょう」
「…私はいいんだけど…
なーんか、さっきから
後頭部に、突き刺さるような視線を感じるのよ…」 |