女                   （携帯に出る）出でよ大魔神。

 

                       さらにたくさんの携帯が鳴り響く。男、携帯大魔神として降臨。

 

男                   電話に出ろ。

　

　

問山               うっそ、これ家壊れるぞ。

しじみ           えええ、うっそお。

しじみ           うわああああ、すごいわあああ。

　

              

どんどんどん、ばらばらばらばら。ひゅーん。どかーん。

 

母          どうなっちゃうんだろうなこのまま。

父          このまま全員死んだりして。

母          それもありうるね。

父          最後は一緒に死ぬか。いいなあ。

母          いいのか。

父          一緒に死ねればいいよ。

母          わしとか。

父          うん。

　

　

父          ･･････

母          一生そばにいてよ。

父          いるよ。

母          一緒にそばたべてよ。

父          たべるよ。

母          みんなで一緒に。

父          そうだね。みんなで一緒がいいね。

　

***

　

男          がんばってもがんばっても、どうしようもないことがある。

携帯      すいません。がんばります。

男          おまえが、がんばるから、この家、こんなふうになって。

携帯      すいません。みんなすいません。

男          おまえ、かっこわるいんだよ。立つな。ばか！

携帯      すいません。がんばります。

　

男          立つな。もう立つな。

携帯               がんばります。がんばります。だって、がんばるしかないだから。
だってがんばるしかないんだから。がんばるしかないんだから。
がんばるしかないんだから････

　

　

***

しじみ           はい。ああ、やっと、つながりしましたね。やっぱり、ここ、電波悪くて、･･････はい。みなさんぼちぼちみえてます。･･････はい。ああ、そうですね。
今夜はみなさんお泊まりになると思いますけど、

しじみ           お母さん達は、主人と一緒に、部長さん達迎えにいったんですよ。はい。
ですから、もうじき、･･････あああ、また、電波悪いですね。
どうしましょう。いったんかけ直します。はい。

 

いったん消す。そしてもう一度リダイヤル。
皿が１人分足らないことに、気づき、もう一度、去る。

　

　

風鈴がなる。魔神は外を見る。

夏の日差しが照りつけている。

　

<舞台ができるまで→>

　

＜←4　爆炎＞