鳴海 お前が出向する所は、「敷島兵器開発研究所」という。
厳密に言えば海軍の所属機関ではない。
畑中 ・・・え?
海 そこで何が行われているかは知らん。ただ、これだけは言える。
・・・おそらく・・・外部との連絡は遮断されることとなるだろう。
畑中 !
鳴海 なにしろ、噂だけはいろいろとあるからな。
曰く、「人体実験が行われている」とか、
「帰ってきた者はいない」とか・・・。
畑中 !
鳴海 冗談だ(笑)
畑中 ・・・なんだ。はは・・・。
鳴海 安心しろ。搭乗任務があることは確実だ。「夢の艦隊勤務」だ。
畑中 はい。ありがとうございます。やっと甲板に立つことができて、光栄です。
鳴海 いや、甲板は・・・。
畑中 ?
鳴海 なんでもない。まぁ、・・・手紙、書き上げておいたほうがいいぞ。
後悔の無いように、な。
畑中 は・・・。
***
舞台が明るくなると、舞台中央に女がいすに座っている。
周囲を囲んでいるのは、なにやらライトやレバー、ダイヤルなどが
ずらりと並ぶベニヤ板。
粗末な作りではあるが、「操縦シミュレーター」である。
敷島 バラストタンクのリパージは、爆裂ボルトを使っているが、
機構上どうしても誤差は生じる。振動によるぶれも当然ある。
よって・・・一人では無理だ。そうだな、天野君。
天野 おっしゃるとおりです、博士。
敷島 『今日のシミュレーションで目標点に誤差1m以内で
寄せることができなければ、操縦席のレイアウトは任せる』
・・・そう言ったのは、君だな、ん?
神宮司 ・・・。
敷島 よって、試作実験機○六―弐式(まるろく、にしき)は
艦長、航海長、機関長、爆撃長の4人連座式を採用する!
神宮司 聞いていません。
敷島 僕は、君の意見を聞かなければならないのかなぁ?そういう立場かなぁ?
神宮司 ・・・いえ・・・失礼しました。
敷島 安心しろ。耳の良い奴をちゃんと見繕っておいた。後顧の憂いもない男だ
神宮司 男?
敷島 そうだよ?何か問題でも?
神宮司 ・・・別に。