8月公演までのひまつぶし企画
2003.8.30

今回はこうでした その3

舞台写真を載せました。
中盤からラストにかけて。

 

真二: 

僕達は、ただ毎日、その瞬間を生きることしかできない。
そういう刹那の間しか、心を通わせることができない。
それは時にはとてもつらいことだ。

それでも…君はこの家に来るか?

 

時渦:

…たとえ、この気持ちが、片思いと呼ばれるもので、
それは愛じゃないのだとしても、
私はあなたに片思いし続けるわ。

目が覚める度に、あなたは昨日のあなたになって、
私との思い出を何一つなくしたとしても、
私は…あなたに毎日ひとめぼれしてみせる。

私は…そんな風にあなたのことを思いたい。
何年でも、何十年でも、
あなたがたった一つの細胞に戻ってしまうまで…

時渦: お休みなさい。

真二: …さよなら。

時渦: え?

真二: いや、…「お休み」。

 

真二: 時渦…。

時渦: 私は将来どうなりますか?
    どうやって生きていけばいいんですか?

真二: それを教えてあげるわけにはいかない。

これから起きることはすべて偶然。
起きてしまったことはすべて必然。
…私には君の未来が少しだけわかる。
しかし、それは決していいことだとは言えない。
今はただ、じっと耐えるんだ…

真二: 時渦…だね。

時渦: おじさん、だあれ?

真二: …いずれ、わかるさ…

 

***

 

真二: …時計を持っているかい?

…じゃあ、これをあげよう。

本当は新しく作り変えたかったんだけど、
…間に合わなかった。

これはね、…時渦と、
時渦がこれからめぐりあう誰かとを結ぶ絆になるんだよ。
もらってくれないか?

時渦: 誰かって…誰?

真二: 私だ。

君は私に会う…私はもう…君には会えないけれど…

 

***

 

時渦: おじさん、泣いてるの?何がそんなに悲しいの?

真二: …そうだね。悲しいことなんか何もない。

…君と私は…必ず、めぐりあうのだから。

時渦: おじさん。

真二: ?

時渦: またね。

真二: …ああ。

真二: 時渦は…幸せだったろうか。

男:  それは、これから決まることですよ。
    私達にとっては。

そして何より…その答えは、
あなたが一番よく知っているはずだ。

ゆっくりと目を閉じる真二。

そして…

 

いつまでも、枯葉を巻いて、くるくると回る渦のように。

延々と繰り返される、物語…。

 

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