神主
「何?頭がおかしい?それは大変じゃ。
巫女ども、おはらいじゃ、おはらいをせい!」
巫女たち 「いえい!」
おはらいなのかステージダンスなのか、いやはや。
巫女たち
「R・O・M・I・O、ロミオ!いえい!たかさご、たかさご、たかさご、いえい!」
男 「何なんだ、こいつら」
芽怒絵津徒 (めぬえっと)
「岐阜市金町はこがねもち神社の名誉神主、 露蓮巣(ろれんす)神主さまよ」
芽怒絵津徒 「お願い路美男、しっかりして。たかが三々九度じゃないの」
男 「貴様ら、俺をどうするつもりだ!放せ!放せよう!」
巫女 「ならばここはひとまず、路美男を檻にでも閉じ込めて
自意識が崩壊するのを待つことになさりぬるやいかん」
乳母 「檻、カモーン!」
樹里絵津徒
「おおお父様、お願いです。どうか路美男を責めないで。
彼は少し疲れているだけなのよ」
乳母
「お嬢様、お綺麗です。そうやって路美男の味方のふりを
なすっていらっしゃるところ」
樹里絵津徒 「…」
男
「待ってくれ!頼む!遊びなら遊びでいいから、
日を改めてってことにしてくれ!
…落ち着け、落ち着くんだ。
(携帯で)110?来てくれるの?ほんと!ざまあみろ!
檻に入るのはそっちだぜ!」
そして約三時間後。
男 「こらあ警察、時間守れ…。」
と、檻の外に丁穂留徒と芽怒絵津徒。
芽怒絵津徒 「先週の金曜日、お父様の足、踏んづけたでしょ」
丁穂留徒 「実はね、これは芝居好きのオヤジが考えた罰ゲームなんだ」
男 「そうだったのかー」
男 「すみません!」
氏 「あの二人、つまらんことを。姉さんのせっかくの見合い話なのに」
男 「そっか、ウソだったの、さっきの話」
巫女たち 「路美男だって。すっかりその気みたい。単純」
男 「ちょっと待て。すると見合いってのは…。」
巫女 「だから作り話だって言ってるじゃない」
男 「今のもまた嘘っぱちで、本当はって言うんだろ」
神主 「あーあ。すっかり混乱しきっとるわ」
男 「もう信じないぞ!」
神主 「アハハハ。少しやりすぎたかなあ!」
一同 「ぜーんぜん!」
神主
「衣食住足りて、なお余りある、平和で平凡な毎日。
実のところ、誰もがドラマに飢えているんじゃないかってね。」
氏
「私たちはみんな、元はと言えばキミと同じように
偶然この世界に足を踏み入れた者ばかりなんだよ」
巫女 「年に一度の大舞台!第17回岐阜市民芸術祭演劇の部合同公演!」
一同 「ロミオとフリージアのある食卓 長良川純情編」
神主 「ま、君はただ君らしくしていればいいんじゃ」
男
「待ってくれ!一人にしないでくれ!
もうたくさんだ!俺はもう何も考えたくないよ!」
葉里巣 「それでいいんだ…」
樹里絵津徒
「しっかりするの、しっかり立つの!
演じさせられるのはもうたくさん。
のぼってらっしゃい、この腕を伝って!」
樹里絵津徒
「まだ何も始まっちゃいない。これからよ。
私を見て、私を抱いて、私を一人になんかしないで」
葉里巣 「路美男!こっちだ!」
男 「うるせえ!」
樹里絵津徒
「だから叫んで、お願い叫んで、メタモルフォース!
待っていたのよ、私の路美男」
男
「メタモル…?」
樹里絵津徒
「もっとよ、もっと強く抱きしめて!
逆さまの世界観!こわれろ心臓!メタモルフォース!」
二人抱き合ってメタモルフォースと呼び交わす。
その叫び声にかぶさって巻き起こる怒涛のような路美男コール
うなぎや 「旦那さん、もうだめだよ。持ちこたえられないよ!」
葉里巣 「こりゃあただのさわぎじゃないぜ」
一同 「あああっ、こわれるうっ!」
続きは明日!