| 「みなさん、もうあきらめちゃうんですか?」
「…」
「…あの、私、考えたんですけど…
今から、今からやりましょう。卒業式。」
「…はあ?」
「…私が言いたいんです。私は伝えたいんです。
先生が、じゃなくて、教師が、じゃなくて、
私が、伝えたいんです。
それじゃダメなんですか?」
「…さっきから言ってるじゃない、それは自己満足だって…」
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「めでたく卒業されるガルベス=レジエーロ君!
ご卒業、おめでとうございます!」
「先生…」
「ほら受話器こっち向けて!それじゃ聞こえないでしょ!」
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「ガルベス君の健闘と、輝く未来へ、
祈りを込めて、私達から、この歌を贈ります」
「…歌!なんかないの!」
「卒業式っぽい曲なんか、そこらにほいほいないだろ普通」
「待って!なんとかなるかもしれない。」
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「あ、校長先生ですか?すいません、ちょっと電話を
上に持ち上げてもらえますか?」
『…本日は、マイストアをご利用いただき…』
「これ…蛍の光!」
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♪蛍の光 窓の雪 文読む月日 重ねつつ
いつしか年も すぎのとを 明けてぞけさは 別れ行く
とまるも行くも 限りとて かたみに思う ちよろずの
心のはしを 一言に さきくとばかり うとうなり ♪
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携帯は切れていた。
「ま、気持ちは伝わったよ、きっと。」
「…」
「…あんた、ひょっとして…」
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「さて、帰ろうか」
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あっと言う間に、いつもの様子を取り戻す職員室。
結局はそれすらもが「日常」になるのだから…
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