<町の葬儀>
瑞子 「龍ちゃん なんで死んでるのよ、ねえ、ねえ!」
社長 「瑞子ちゃん、そんなに押したら」
全員 「あああわわわわわ」
かんおけ、するっと落下
母 「きゃーーー」
瑞子 「ごめんなさいごめんなさい」
下で「おおおおおおおおお」と受け止めた男達の声
マチコ 「店長、今の見ました、すごいんですよ。
みんなでダイビングキャッチして男の人たち」
瑞子 「何であんたそんなに元気なの」
マチコ 「…。」
瑞子 「龍ちゃん、最後になんて言って死んだの。
あんた、龍ちゃんとつきあっていたんでしょ!」
マチコ 「私、龍ちゃんが死んだ電車に最後まで一緒にいたんです…。」
父 「ここにいてください。私だってこの町の人間じゃないんですよ。
でも、この町が大好きです。マチコさんはこの町が嫌いですか。」
母 「お父さん、下に…。」
ちょっと前なら覚えちゃいるが
一年前ならちとわからねえなあ
髪の長い女だってここにゃたくさんいるからね
悪いなあ他あたってくれよ
父 「好きですか」
マチコ 「好きです」
フジコシ 「お母さん、下でみんな歌ってる、あっ」
あんた あの子のなんなのさ
港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ
アヤ 「…昼ドラだね」
チカ 「…っていうか、龍ちゃんが死んだショックより、
昼ドラのショックの方が大きいんだけど」
<信長祭り>
チカ 「これかぶって歩くのー」
瑞子 「私よりましだよ」
チカ 「私 姫がいいー」
ババ 「わらわが濃姫じゃー」
全員 「…はい」
フジコシ 「もう電車なくなっちゃうのか、黒野もなくなっちゃうのか…。」
五十嵐 「この町の人たちは誰も道を広げようとはしないですよね。
自分の土地を手放そうとはしないですよね。
みんなで痛い思いして、電車も車も動く町にすればいいのに、
結局みんな自分が痛い思いする覚悟はないんですよ。」
母 「教えてください五十嵐さん。
龍兄ちゃん死んでから何もかもおかしくなっちゃったんです。
教えてください。教えてください。」
マチコ 「…あの赤いコート、何に使ったんです」
五十嵐 「どけえ!俺はこの町から降りる!」
フジコシ 「全長43.6Kmのこの線路は!」
龍 「俺の骨だーーー!」
ババ 「信長龍さまのおなーりー」
全員 「信長龍!」
龍 「じゃあ、おれちょっとこいつ連れて行くから。
何があってもみんなでがんばれよ。
みんなでがんばれば何とかなるから。」
全員 「…。」
フジコシ 「だから、このレールは、信長の時代から続く龍の背骨なんだ。」
全員 「そんな馬鹿な話だれも信じないよ。」
フジコシ 「この町にみんないます。みんなーーー仲良くしてよ」
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