600Vまでのひまつぶし企画
2006.8.17

今回はこうでした その3


母     「もしもし…はい、お金ですか…。はい。

       忘れてるわけじゃないですよ。ただ思い出すのを忘れただけで。

       …とりあえずもうお金ないんです!忙しいんです!じゃあさよなら!」

 

父     「まだ泣いてるのか」

フジコシ 「うん。」

父     「一緒にウォーリーでも探すか。」

フジコシ 「うん。」

母     「お父さん」

父     「…一緒に探すか」

母     「ムリです。」 

 

***

 

マチコ  「せっかく私と別れ話したのに、お母さんに先越されちゃいました?」

父    「はい」

マチコ  「そんな私は行きますけど」

父    「はい」

マチコ  「なんか私、めっちゃかっこ悪いです」

父    「私もかっこ悪いです」

フジコシ 「マチコさん、ウォーリーってどういう意味」

父    「ウォーリーは、まぬけって意味だよ」

 

 

父    「お父さん、鳥屋やめようと思うんだ。

      やめてね、ケンタッキーフライドチキンやろうと思うんだけど、どう思う」

フジコシ 「いい」

父    「うん、いいと思うんだ。ここでさ、ずっと待ってればさ、

      いつかまた、この町が元気になったとき、みんな帰ってくるかもしれないし」

フジコシ 「お母さんも」

父     「たぶんね」

フジコシ 「みんな帰ってくる」

父     「お父さん達がここ出て行っちゃったら、

       みんなどこに帰ればいいかわからなくなるからさ」 

 

 

アヤ   「暑いー」

フジコシ 「僕の方が暑いです」

アヤ   「電車の方が涼しかったねー」

フジコシ 「僕、電車の方が好きです」

アヤ   「知ってるよ」

フジコシ 「電車がいいーーー」

アヤ   「電車がいいーーー」

 

***

 

アヤ  「ねえ、来月さ、何の日か知ってる」

フジコシ 「聞こえないー」

アヤ  「フジコシのアホー」

 

 

アヤ   「もっとあたしのこと頼ってよ。もっといっぱいあんたの荷物持たせてよ。

      イヤだったこととか、つらかったこととか、もっともっといっぱい話してよ。

      もう、ほんとバカじゃないの。ばかフジコシー」

フジコシ 「…ごめんなさい」

アヤ   「知らん」

 

 

フジコシ  「もう少しでみんなが戻ってくる」って言いました

       「なんでだ」ってお父さん聞くから、

       僕は「僕の電車に乗ってみんなが帰ってきてくれる」って言いました。

       でも僕もう、わかっていたんです。こないだ、電車つくっているとき、

       一人で夜、電車作っているとき、この電車の横を、

       赤い路面電車がすれ違っていったんです。たぶん夢です。

       でも乗っていたのは、赤い人で、それは血まみれになって死んだ

       龍兄ちゃんで、借金にまみれた社長さんで、

       赤い業火の中で死んだ信長で、それはよく見たら、僕でした。

       赤い電車に乗って、僕はみんなに会いに行っていたんです。

       いなくなったみんなに、栄えていたあの町、丸物百貨店で、

       高島屋の前で、鳥屋の中で、社長や、龍兄ちゃんが、マチコさんが、

       みんなが、それから、お母さんに。

 

 

フジコシ  「僕という線路は君という名の終着駅に続いている」

アヤ    「うるせえ!」

フジコシ  「はい」

 

 

アヤ    「今日、なんの日か知ってる」

フジコシ  「今日でつきあって一年」

アヤ    「うん」

フジコシ  「しかも君の誕生日」

アヤ    「うん」

フジコシ  「ちょっとかさばるけど」

アヤ    「かさばるとかかさばらないとかの問題じゃないし」

フジコシ  「僕がんばった!」

アヤ    「フジコシのアホー!」

 

 

アヤ   「この電車さあ」

フジコシ 「うん」

アヤ   「どこいくの」

フジコシ 「…さあ」

アヤ   「さあって、あんたが作った電車でしょ」

チカ    「あんた電車男でしょ」

フジコシ 「知らないものは知らないんです」

 

 

アヤ    「骨さあ」

チカ    「うん」

アヤ    「このまま見つからなかったらどうする」

チカ    「三心に遅刻する」

アヤ    「じゃなくて」

チカ    「困る。けどそれはそれで楽しい」

フジコシ  「うん」

チカ    「だからもう少しつきあってやってもいいかなって感じ」

 

 

小骨たっぷりカルシウム 骨まで食べよう長良の鮎

骨がないのはクラゲだけ 焼くとおいしいイカの軟骨

ほほーほほほー 骨大学 ほほほ

 

 

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